田中慎弥さんといえば、芥川賞作家のなかでも、もっとも印象深い人物の1人といえるのではないでしょうか。
作家としての才能もさることながら、やはり、あのあまりにも衝撃的な受賞会見によって、一躍有名になった、田中慎弥さん。
あれから早くも10年近くが経ったわけですが、田中慎弥さんとは、どのような性格の人物なのかがとても気になりますよね。
そこで、この記事では、そんな田中慎弥さんの性格について見てまいりたいと思います。
あの物議をかもすことになった芥川賞受賞時の会見、そして現在とで、田中慎弥さんの性格に変化はあったのでしょうか?
それではこれから、確認していきましょう。
田中慎弥の経歴
田中慎弥さんは、1972年11月29日、山口県の出身で、現在の年齢は51歳になっています。
芥川賞作家といえば、その経歴には華やかな印象を抱きがちでしょうが、田中慎弥さんの場合は、かなり異例のものでした。
まだ4歳だったときに父親が亡くなって母子家庭で育ったという、田中慎弥さん。
やがて田中慎弥さんは中学生になって以降、読書に傾倒していって、川端康成さん、谷崎潤一郎さん、三島由紀夫さんの作品をメインに、豊富な読書をしていくことになります。
なんと、あの『源氏物語』を5回も読んだといいますから、すごいことでしょう。
一方で、そんな田中慎弥さんは、高校卒業後、大学進学に失敗して、それ以降、まったく働くことなく、作家デビューするまで完全な無職だったという、別の意味ですごい人生を歩むことになったのでした。
が、田中慎弥さんは、なにもしていなかったわけではなく、作家をめざしていき、2005年、『冷たい水の羊』で新潮新人賞を受賞して、作家デビューしたのです。
以後、2007年には、『図書準備室』で芥川賞にノミネート。
2008年には、『蛹』で川端康成文学賞を受賞し、『切れた鎖』で三島由紀夫賞を受賞し、芥川賞にノミネート。
2009年には、『神様のいない日本シリーズ』で芥川賞にノミネート、『犬と鴉』で野間文芸新人賞にノミネート。
2010年には、『実験』で野間文芸新人賞にノミネート。
2011年には、『第三紀層の魚』で芥川賞にノミネート。
そして2012年には、『共喰い』で、とうとう芥川賞を受賞したのでした。
なお、冒頭でも申しました通り、この芥川賞の受賞において、田中慎弥さんは、ある発言で物議をかもしますが、これについては後で振り返っていきましょう。
その後、田中慎弥さんは、2019年には、『ひよこ太陽』で泉鏡花文学賞を受賞しています。
これら以外の田中慎弥さんが刊行してきた作品は、『田中慎弥の掌劇場』、『夜蜘蛛』、『燃える家』、『宰相A』、『炎と苗木 田中慎弥の掌劇場』、『美しい国への旅』、『孤独論 逃げよ、生きよ』、『地に這うものの記録』などとなっていました。
最近のものとしては、2020年の『完全犯罪の恋』、2023年の『流れる島と海の怪物』があります。
これだけのすばらしいキャリアの持ち主だった田中慎弥さんのますますの活躍が楽しみですね。
田中慎弥の学歴
前述のように、田中慎弥さんは、高校卒業後、大学進学に失敗してしまい、それ以降、作家デビューするまで定職に就かなかったという、異例の経歴の持ち主でもありました。
このことは、芥川賞受賞時に、後述する発言とあわせて、ずいぶん話題になったものです。
それでは、田中慎弥さんの出身高校とは、どこだったのでしょうか。
それは、山口県立下関中央工業高校でした。
山口県立下関中央工業高校には、和泉新さん、小川忠晴さん、田村淳さん、野村和正さん、野村直輝さん、森本惟人さん、魁傑將晃さん、三輪正義さん、原沢侑高さんなどといった出身者がいます。
田中慎弥の性格|芥川賞受賞当時のインタビュー
すばらしい才能を持っていたものの、田中慎弥さんは、その性格については、芥川賞受賞時のインタビューにおける発言で物議をかもしてしまったことで、疑問視されることに。
その発言は、あまりにもインパクトがあるものでした。
2012年、『共喰い』で芥川賞を受賞した田中慎弥さんは、記者会見にて、不機嫌なようすを見せ、「とっとと終わりましょうよ」、「こういう場が好きではない」と発言。
さらには、選考委員だった当時の東京都知事の石原慎太郎さんについて、「都知事閣下と東京都民各位のためにもらっといてやる」と発言していたのです。
これでは物議を醸さないほうがおかしいですが、その後、田中慎弥さんの性格はどうなったのか、次で見てみましょう。
田中慎弥の性格|現在と芥川賞受賞当時のインタビュー比較で丸くなったか
はたして、田中慎弥さんの性格は、その後、どう変化していたのでしょうか。
例の発言後、田中慎弥さんは、インタビューを受け、「ふだん考えていることを言っただけ」だったと語っていました。
そのうえ、同時期に芥川賞を受賞した円城塔さんに対して申し訳ないと思っていたようです。
これを見る限り、とがっていた性格が丸くなったというより、もともと悪意はなく、誤解されていたとみていいのではないでしょうか。
なお、2019年に泉鏡花文学賞を受賞したさいには、あくまで、小説の創作姿勢について、謙虚に語っていました。
2020年4月に行われた朗読会の様子が見れる動画がありましたので紹介いたします。
渋い声で、意外と早口にたくさん喋られています。
案外、サービス精神旺盛な方なんじゃないでしょうか?
やはり田中慎弥さんは、とくに問題がある人ではなさそうですね。
芥川賞受賞時に物議をかもした田中慎弥さんが、悪い人ではなさそうで安堵しました。
それでも、誤解をまねいたことは事実でしょうが、その後の活躍によって解けたようなところもあり、なによりですね。
今後もきっと、すばらしい作品を生み出してくれるに違いありません。